南北に長く伸びる日本列島では、春の訪れとともに、南の島の種子島・屋久島を皮切りに、九州から本州へと桜前線のように、新茶の芽吹く前線が徐々に北上していきます。
今年初めて摘まれた新芽で作られる新茶は、若葉の爽やかな香り、みずみずしい風味が魅力。種子島と屋久島から届きたての味わいを、産地の特徴とともにご紹介します。
温暖な気候と肥沃な土壌に恵まれた種子島では、特産の安納芋やサトウキビなど、1年を通して様々な作物が栽培されています。その中でもお茶は、100年前に静岡から生産者が移住して以来の歴史があり、最も早い新茶の産地として知られています。伝統の浅蒸し製法で作られる新茶は、じんわりと広がる甘みが特徴です。
平坦な種子島とは対照的に、九州最高峰の宮之浦岳(1936m)をはじめ、1500m以上の山々がそびえる山の島。縄文杉や苔むす森などで有名な、手付かずの大自然が今も残ります。昼夜の寒暖差と立ちこめる深い霧、清らかな水が、良質な茶葉を育みます。その新茶は、香り高くフレッシュな風味が特徴です。