初夢信仰の起源は
初夢は、新年最初に見る夢のことです。特に初夢に見ると縁起がよいとされるのが、「一富士、二鷹、三なすび」。その由来は諸説ありますが、一説には天下人の徳川家康に縁の深い駿河の国(静岡県)の名物で、標高や値段の高いものを並べたという言い伝えがあります。
一年の吉凶を占うものとして、初夢は昔からとても重要視されてきました。いい夢を見るために宝船の絵を枕の下に敷いて寝る風習は、室町時代から定着。江戸時代になると、正月早々「お宝、お宝」と宝船売りが絵を売り歩き、飛ぶように売れたそうです。
夢は買うもの?
夢で運勢を占ったり、未来を予知して現実に生かそうとする試みは、古代から古今東西で行われてきました。
例えば、ペルシャ遠征に乗り出したアレクサンドロス大王は、テュロスという都市がなかなか攻略できずに苦戦していたある夜、ギリシャ神話に登場する精霊、サテュロスの夢を見ます。すると夢占い師は、それをギリシャ語で“sa Tyros(あなたのテュロス)”と解釈。テュロス陥落の予知夢だと伝えました。王はこれに大いに勇気づけられ、直後にテュロスを陥落させたのです。
日本でも同様に、夢の意味を判断する「夢解き」という職業が平安時代から存在しました。しかも、いい夢は商品として売買されるほどの価値を持っていたと言われます。