ルピシアだより 2018年1月号
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お茶でいい夢

幸先のよい一年のスタートが切れますように。そんな願いを込めて、2018年最初の特集は、「夢」をテーマにお届けします。

お茶でいい夢

初夢信仰の起源は

初夢は、新年最初に見る夢のことです。特に初夢に見ると縁起がよいとされるのが、「一富士、二鷹、三なすび」。その由来は諸説ありますが、一説には天下人の徳川家康に縁の深い駿河の国(静岡県)の名物で、標高や値段の高いものを並べたという言い伝えがあります。

一年の吉凶を占うものとして、初夢は昔からとても重要視されてきました。いい夢を見るために宝船の絵を枕の下に敷いて寝る風習は、室町時代から定着。江戸時代になると、正月早々「お宝、お宝」と宝船売りが絵を売り歩き、飛ぶように売れたそうです。

夢は買うもの?

夢で運勢を占ったり、未来を予知して現実に生かそうとする試みは、古代から古今東西で行われてきました。

例えば、ペルシャ遠征に乗り出したアレクサンドロス大王は、テュロスという都市がなかなか攻略できずに苦戦していたある夜、ギリシャ神話に登場する精霊、サテュロスの夢を見ます。すると夢占い師は、それをギリシャ語で“sa Tyros(あなたのテュロス)”と解釈。テュロス陥落の予知夢だと伝えました。王はこれに大いに勇気づけられ、直後にテュロスを陥落させたのです。

日本でも同様に、夢の意味を判断する「夢解き」という職業が平安時代から存在しました。しかも、いい夢は商品として売買されるほどの価値を持っていたと言われます。

夢が生んだあの名曲

現代の私たちからすると、あまりに非科学的に見えますが、実は、夢が現実に影響を与えたケースは決して少なくありません。夢を契機に生まれた偉大な発明や芸術も数多くあります。

例えば化学者のケクレは、蛇が互いの尻尾を食い合う奇妙な夢を見て、亀の甲マークのベンゼン環のアイデアを思いつき、世紀の大発見をしました。あのビートルズの名曲「イエスタデイ」も、ポール・マッカートニーが夢で聴いたメロディーを曲にしたのだと、のちにポール自ら語っています。

お茶で夢が叶う!?

このように眠っている間に見た夢が現実になることを「正夢」と言いますが、夢という言葉には、将来実現したい理想や希望という意味もありますよね。

夢を現実に引き寄せるには、理想の状態をイメージすることが有効なのだそうです。実際、イメージトレーニングはスポーツや勉強、芸術や音楽など様々な分野で取り入れられています。

イメージトレーニングを行う際に大切なのは、十分にリラックスした状態で行うこと。リラックスすると集中力が高まり、前向きな思考やイメージがしやすくなるからです。ぬるめのお風呂に入ったり、音楽を聴いたりとリラックス状態を作る方法は人それぞれですが、お気に入りのお茶を飲むのもその一つ。甘い香りのお茶で癒されたり、心を落ち着かせてくれるハーブティーもおすすめです。

カップから立ち上る香りやお茶の味わいは、私たちの五感を刺激し、無限の想像力をかき立ててくれます。そんなふうに、好きなお茶とともに過ごすリラックスした時間は、きっと理想の未来に近づく第一歩になるはず。さあ、おめでたい新年、皆さんはお茶と一緒にどんな夢を描きますか?