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Vol.5 軽く硬派なクリスタル ロブマイヤーバレリーナシリーズ

かつてクリスタルは、深い森から誕生した。中部ヨーロッパ、ボヘミア地方で17世紀頃に独自に発達したガラスは、深山が産出する上質なケイ砂と木灰を原料に作られ、透明で硬く軽く丈夫な「森林ガラス=カリ・クリスタル」と呼ばれた。沸点が高いため、薄く硬く軽い特性を誇ったこれらカリ・クリスタルの製品は、ハプスブルク家をはじめヨーロッパ中の宮廷で愛用されたという。しかし、18世紀にケイ砂に鉛を加えるレッド・クリスタルの製法が発明され、鉛の特性である軟らかさ、沸点の低さ、透明度などの利点と経済性によって、その王座は徐々に奪われていった。しかし近年、エコロジーなどの観点から、レッド・クリスタルに含まれる鉛(多いものは30パーセント以上)の環境に与える影響などが考慮され、カリ・クリスタル製品は再び評価されるようになっている。

このロブマイヤーのカリ・クリスタル製のグラスは、本来はお茶ではなくワイン用のグラスであり、また耐熱処理はしていないので熱いお茶や急冷式のアイスティーには使えないが、繊細な香りの水出しフレーバードティーやダージリン紅茶は、本当においしくいただける。ひとつひとつ職人により吹きガラスで成形されているため、よく見るとわずかに呼吸しているような有機的なフォルムをはらんでおり、指で触れているだけで心地よい、本当に上質なグラスだ。「いつかはきっと揃えてみたい」そう思わせてくれる、モノとしての魅力と歴史の深みが、ここには隠されている。

■ ウィーンの工房にて

1823年、ウィーンに創設されたロブマイヤーは、その製品のクオリティーと優美なデザインによって、ハプスブルグ家を筆頭とする王侯貴族の御用達ガラス工房として名声を確立。19世紀半ばから世紀末にかけての、リベラルで爛熟した独自の文化を誇ったウィーン文化の中で独自の地位を築きあげた。

なかでも異彩を誇るのが、ウィーン分離派の設立メンバーとして知られるデザイナー・ヨーゼフ・ホフマン(Josef Hofmann 1870〜1956年)を、デザイン責任者として迎えて作られたホフマンブラック(1912)。ガラスの柔らかな曲線に、黒いエナメルで構成された直線が美しく映える名作だ。

またウィーンのオペラハウスや、ニューヨークのメトロポリタン・オペラなど、古典からコンテンポラリーまで、建築や空間そのものを演出する自在な造形が魅力的なシャンデリアでも知られている。

そして今回ご紹介するこのバレリーナシリーズ(1992)は、欧州最大級の産業見本市ハノバーメッセのデザイン賞(1993)を受賞するなど、今日のロブマイヤーを代表する、現代的かつ実用的なテーブルセットである。

■ 軽やかさと丈夫さと

一般に同じ焼物として親しまれている陶器と磁器。その主な違いは、材料と加工する温度にある。

粘土を主な原料として形をつくる陶器は、ややざらざらした素材感があり、焼物としては柔らかく、強度を保つため重くなる。それに対して粉末状にした長石やカオリン、ケイ石などを主な原料とする磁器は、高温で焼き締めるため、硬く薄く、つるつるとした滑らかな肌触りが特徴だ。

あまり知られていないが、じつはクリスタルの世界でも、同じような違いがある。

最大で約30パーセントの鉛成分を含むレッド・クリスタルは、重く柔らかく、比較的、融解温度が低いという、鉛という素材特有の性質を合わせ持つ。

それに対して、上質なカリとケイ砂、石灰を、約1400度の高温で溶かして作るカリ・クリスタルは、ガラス自体が磁器のように、丈夫で、薄くて、軽い。

カリ・クリスタルの欠点は、その硬度の高さから、彫刻などのカット加工や研磨の際に手間がかかること。また光の屈折率が低いため、金属的な反射と光沢が少ないこと。しかしその分、ナチュラルなガラス本来の素材感が楽しめる。また、ロブマイヤーのクリスタルは石灰成分が約20パーセントと、一般的なものよりも10パーセント以上多く含まれるため、透明度と密度の高さを誇っており、素材自体の丈夫さを生かした薄手の造作が可能なのだ。

■ チャーミングな緊張感

一見、ただのワイングラスにしか見えないのだが、手に触れると、なんともいえない魅力と親しみやすさ、そしてキーンと張った造形の緊張感が肌に伝わるこのバレリーナシリーズのグラスやカラフは、英国を代表するバレリーナ、マーゴ・フォンテーン(Margot Fonteyn 1919-1991)にインスピレーションを受けて制作されたという。

マーゴ・フォンテーンは、1940年代後半から世界のバレエシーンにおいて、その圧倒的な輝きと存在感…人を威圧するのではなく、ただ技術を誇るのではなく、並みはずれた美人という訳でもなく、その何ともいえない可憐さによって、頂点に立ったダンサーだ。

そういわれてみると、この驚くような軽さのクリスタルグラスに触れ、使う楽しさには、つま先立ちになったマーゴ・フォンテーンが舞うフィルムなどを観る時に感じる、ふと気持ちの全てが引きつけられてしまうような、言葉にし難いマジックを鑑賞するのに似た喜びがある。

自由が丘本店イベント(2Fティーサロン)ロブマイヤー・グラス展 〜貴婦人が愛したウィーンの輝き〜6月16日(月)~7月15日(火)

ハプスブルク家の文化を今に伝える卓越した技術と貴婦人達を魅了した輝きを、2Fティーサロンでご覧いただけます。
「ロブマイヤー・グラス展」の詳細 »

また、ロブマイヤー・グラスを楽しむお食事会も開催いたします。
「お茶会 〜アイスティーで楽しむロブマイヤー・グラス〜」開催 »
「ワインディナー 〜ロブマイヤー・グラスで楽しむワインディナー〜」開催 »

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NEW SHOP OPEN!! 11/14川崎ベイエリアショップ
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