甘い茶葉の秘密は?
インド北東部に広がる世界屈指の紅茶産地、ダージリンのクオリティーシーズン(旬)は、春・夏・秋と年に三回。なかでもその年の最後、10月下旬〜11月ごろに収穫されるのがオータムナル(秋摘み紅茶)です。
それぞれのクオリティーシーズンの特徴をダージリンで尋ねると、茶園マネージャーたちはみな、口を揃えてこう答えます。「春摘み紅茶はフレッシュ(新鮮)、夏摘み紅茶はメロウ(芳醇)、そして秋摘み紅茶はスウィート(甘い)。オータムナルは、ダージリンが一年でいちばん甘くなるシーズンなんだ」
その言葉通り、オータムナル最大の魅力は、円熟したまろやかな甘みにあります。「モンスーンが明けて乾季へと移り変わり、気温もぐっと下がるこの時期は、茶葉の成長がとっても緩やかになるの。茶樹にとって過酷な環境だけど、そのおかげで風味や甘みがぎゅっと詰まった、おいしいお茶ができるのよ」。ある茶園オーナーの奥様は、オータムナルの「甘さ」の秘密をそう教えてくれました。