ハーブとの出会い
植松狩野さんも僕と同じ、札幌生まれですね。
狩野はい、私の実家は札幌市郊外の山に囲まれた場所にありました。季節ごとの山菜やキノコを採りに行き、それを塩漬けにして食べる。牧場に牛乳を買いに行き、バターやチーズを作るというような家庭でした。小さなころからずっと香りのある植物に強く興味を持っていたのですが、ある日、ドライブ中に偶然ハーブと出会いました。まだハーブなど取り扱う店もなく、どこへ行けば入手できるかもわかりませんでした。当時、私は勤めていたのですが、とりあえず自宅の庭で香りのある植物を育てることにしました。働きながらの庭作りで、たくさん失敗もしましたが、どんどん楽しくなっていって、次第に他所(よそ)の庭の監修や造園を手伝うようにもなりました。
植松どうやってハーブを学んだのですか?
狩野毎日毎日が試行錯誤の繰り返しです。たくさん失敗もしましたよ。でも、その失敗から大切な情報やアイデアを学びました。当時はハーブの本といえば外国のものしかありませんでしたから、その本の通りに料理を作ると日本人にはキツ過ぎたりするんです。香りが強すぎるとか、クセがあるとか、誤ったレッテルを貼られてしまいがちで。そのレッテルを剥がし、「こんなにおいしいよ!」って伝えることに熱意を感じてしまったんです(笑)。ところで、料理人の方々はどのようにハーブの使い方を学ぶのですか?
植松やはり最初は本などを読み、基本を覚えますが、だんだん自分なりのハーブ使い、組み合わせの妙というのが出来上がります。こればかりは日々試しながら発見していくものです。本格的にハーブの魅力がわかってくると、売っているものでは物足りなくなる。若いころは江別市(札幌市近郊)でハーブを栽培している農家さんにお世話になりました。ここでフレッシュハーブをフレッシュなまま使う贅沢を知りました。使いたい時に、使いたいハーブがフレッシュな状態で手に入る。これは料理人にとって幸せなことですね。ドライとフレッシュは別のもので、フレッシュハーブならではという料理もあります。
狩野たしかにフレッシュハーブの香りって素晴らしいですよね。私もできればフレッシュを使いたいと思ってしまいます。