直売会の始まり
「今日の“ニセコ=おいしい野菜”というイメージは『ニセコビュープラザ』が作ったんじゃないでしょうか。世界中のお客様がニセコの野菜を食べにやって来るのですから」と語る「ルピシアグルマン」の植松秀典シェフ。朝、レストランに向かう途中、少なくとも週2、3度は野菜を仕入れに『ニセコビュープラザ』に立ち寄るほどの“ビュープラ通”です。
『ニセコビュープラザ』は、1997年、現在の場所に「道の駅」として誕生しました。その施設の一角に野菜の無人販売所が設置されます。参加したのはわずか7名の地元生産者。当初は規格外の野菜が置かれていたそうです。
その後、無人販売所は徐々に評判を呼び、『ニセコビュープラザ直売会』が組織され、2002年、売上げをレジで管理するようになると、参加生産者は60名を超えるように。「安心、安全、安価」をモットーに新鮮な野菜を提供するコンセプトが支持され、全国の「道の駅ランキング」の上位に選出される、ニセコ観光の拠点となりました。
「ここに来るとその時季のニセコの野菜が一望できるのがいいんですよね。商品にはすべて生産者の名前が貼ってありますから、長年通っていると、野菜と生産者の名前が繋がって見えます。トマトならAさん、ズッキーニならBさん、もちろん新しい発見もありますよ」と楽しそうに店内を歩く植松シェフ。通い慣れた売り場ですが、一般のお客様が賑わう季節には意外な苦労もあると言います。
「店内を一周してくると、目指す商品が売れてしまっていることがあります。といって、あまりたくさん野菜を抱えていると、ほかのお客様の厳しい視線を感じたり(笑)。『それ、どうやって食べるんだい?』なんて声をかけられることもありますよ」