春の足音が近づく頃、二人は再会しました。宮崎県五ヶ瀬町で、「釜炒り製法」のお茶を作る興梠(こうろぎ)洋一さんと、北海道ニセコ町で鉄を使ったアート作品を生み出す澤田正文さん。興梠さんがニセコを訪ねた時に一緒にスキーをした仲だという二人は、再会の挨拶もそこそこに興梠さんが作ったお茶を前に話し出しました。共通点は「鉄」と「火」。さて、どんな会話が繰り広げられるのでしょう。

- 興梠:前に送った俺のお茶どうやった?
- 澤田:「これが興梠さんのお茶かあ」と思って飲んだよ。銅で作った大きなやかんでお湯を沸かして、グツグツする中に「それっ!」とドボンと茶葉入れて。お茶のいれ方、分からないから「ちゃんといれたら、もっとうまいんだろうな」と思ったよ。
- 興梠:そのいれ方が悪いわけじゃなくて。このお茶、水に負けるとよ。負けるというと弱いイメージだけど、繊細っていうこと。いい水で、ちゃんとしたいれ方で飲むと、ものすごくうまい。沸騰したお湯にガッと入れると、お湯にも負けちゃうんで「あれ?」っていう味になる。じゃあ、飲んでみますか。日本茶の主流、深蒸しの煎茶と俺の釜炒り茶。
- 澤田:(飲み比べて)うーん、お茶のことは分からないんだけど、深蒸し煎茶の方が今まで飲んできた緑茶の味。釜炒り茶の方がすっきりして爽やか。紅茶のような雰囲気。
- 興梠:的確な感想(笑)。