ルピシアだより 2018年9月号
チェック
実りの秋、食欲の秋 実りの秋、食欲の秋

真夏の暑さもいつしか和らぎ、気づけば秋目前。おいしい食材が揃うこの季節にこそ心ゆくまで旬の実りを味わいませんか?

旬がおいしい そのワケは

陽が傾く時間も少しずつ早くなり、朝夕の風に秋の気配を感じ始めるこの頃。旬のおいしい食材が多く市場に出回る季節がまもなくやってきます。「実りの秋」「食欲の秋」と言われるように、秋ならではの味覚はやはり毎年楽しみなものですよね。

実はこの「実りの秋」や「食欲の秋」という言葉は、きちんと理に適っているということをご存知ですか? 夏から秋になると作物にも、私たちの体にも変化が現れ、食べることへの意欲が引き出されていくのです。

作物は夏のあいだに太陽の光をたっぷり浴び、大きく成長して実をつけます。少しずつ寒くなるにつれて糖度を上げ、見た目にも色づく秋こそが、栄養が最も多く含まれているタイミング。そんな旬の時期の熟れた作物を食べておいしいと感じるのは、少しでも多くの栄養を摂取するため本来古くから人に備わる、動物的本能によるものなのです。

日光と食欲の ふしぎな関係

夏から秋への私たち自身の変化については、昨今の研究でおもしろい事実が解明されています。それは、脳内の神経伝達物質のひとつ「セロトニン」が不足すると食欲が増すということ。また、セロトニンは日光を浴びることで分泌されるということ。つまり、日照時間の長い夏の間は十分に分泌されていたセロトニンが、秋になるにつれ不足していき、それに反比例するように食欲は増していくというのです。

別名「幸せホルモン」と呼ばれるセロトニンには心のバランスを保つ働きがあるため、秋から冬にかけては食事をとることでストレスを和らげようとしているのでは、と言われています。

他にも、夏バテ気味で低下していた食欲が回復する、冬の寒さに耐えるため体脂肪を蓄えようとしている、など諸説ありますが「実りの秋」「食欲の秋」と言われるのには、こうした科学的な仕組みが関係しています。ですから、いつもより少し多めにご飯をよそうのも、食後のデザートが2品に増えるのも、実りの秋、食欲の秋においては抗いがたいことだと言えるでしょう……。

もちろん、食べ過ぎには気を付けたいところですが、旬の食材を食べることは心にとっても体にとっても好ましいこと。秋の実りの料理や、それを引き立てるお茶で、旬の味わいをおいしくいただきたいものですね。

食欲の秋!でも気になるカロリー……