ルピシアだより 2019年1月号
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幸運を呼ぶ 幸運を呼ぶ

古今東西の福を呼び込む習慣と運を招くお茶の楽しみ方について年始にふさわしいお話です。

太古からの幸運への願い

四つ葉のクローバーに流れ星、テントウムシや青い鳥、だるまに招き猫、メールに打ち込むハートのマーク……。

幸運を呼び込むオブジェやイメージは、お守り、チャーム、服装や装飾物などの形で、私達の生活や文化のいたるところに隠れています。

またこれら幸運のシンボルを表現し共有することは、人類の言語や宗教の誕生にも直結する太古からの習慣なのでしょう。

例えば2万年以上も昔の旧石器時代の遺跡からは、当時の人々が出産の無事や食料の確保、狩りの成功などに対する祈りと願いを表現に込めた、木炭や赤い酸化鉄で描かれた壁画や、石や動物の骨を削った彫刻やアクセサリー類が発掘されています。

縁起ものを飲食する

日本では年が明けて最初に汲んだ水(若水-わかみず)は、邪気を払う特別な力を持つといわれています。この若水でいれたお茶は、飲んだ人に幸運をもたらす福茶(ふくちゃ)と呼ばれ、今も多くの人々が楽しんでいます。

かつて、新年など暦や季節の節目は、特に幸運を強く呼び込む必要があると考えられていました。そのためこの福茶のように、縁起のよい食材を飲食する習慣が残されています。

その代表がお正月のおせち料理。おせちの「節(せち)」とは、本来は季節の変わり目にあたる祝日のこと。古くは3月の桃の節句や5月の端午の節句にも、それぞれのおせち料理が作られていました。

おせち料理は、本来は単なるごちそうである以前に「黒豆=まめに丈夫に暮らす」など、縁起のよい食材による、開運や健康、長寿などにちなんだ知恵と語呂合わせの集合体です。

新年を祝福する世界の食文化

新年を縁起のよい料理や飲み物で祝うイベントは世界各地にあります。

フランスの伝統菓子ガレット・デ・ロワやギリシャのヴァシロピタは、新年に家族や仲間と切り分けていただく大きな焼き菓子。中には豆人形やコインが隠されており、当たった人の幸運を皆で祝福します。

レンズ豆の煮込みを年越しに食べると運気が上昇するというイタリアの風習は、ブラジルなど南米各地にも伝わりました。また、中国の昔のお金の形に見立てた水餃子で新年を祝う習慣も忘れてはなりません。

とても興味深いのが、スペインの年越しブドウ。日本の年越し蕎麦のように、新年を告げる鐘の音に合わせて、ブドウを12粒食べます。

運がいい人々の特徴

さて話は変わりますが、「運がいい」人と「運が悪い」人。皆さん、自分はどちらのタイプだと思いますか?

英国の心理学者リチャード・ワイズマン博士の研究によれば、自分は「運がいい」と考えているグループは、現実世界でも成功している確率が高いそうです。

ワイズマン博士によれば、自分を「運がいい」と考える人々は共通して、自分自身の直感や本能の力を信じて決断を下すゆとりを持っているといいます。

また人々と社交的・積極的にかかわり、新しい人脈や経験、突然のチャンスを受け入れることをいとわないことや、不運なことが起こっても、その事象に必要以上にとらわれない傾向があるといいます。

お茶で開運!?

東洋発祥のおいしくて体によいハーブ=お茶や、それをいれる茶器などのアクセサリー、お茶請けなどのセットも、世界中で団らんや安らぎなどを意味する幸運を招くシンボルとして親しまれています。

お茶が幸運を呼ぶと考えられているのは、大きく二つの理由が考えられます。

一つは、お茶の時間は飲む人の心身に適度な休息をもたらし、その人自身の直感や本能の力を蓄えるきっかけになるため。

もう一つは、お茶を中心とした会合やパーティーの時間が、様々な会話や情報が行き交う社交の場として、偶然の幸運や好機をリラックスした雰囲気で運んでくれるコミュニケーションの道具となるためです。

これはワイズマン博士がいうところの、自分を「運がいい」と考える人々の、行動や習慣の傾向と近しいものになっています。

つまり、日々の暮らしの中に、お茶をゆっくり楽しむ習慣を持つだけで、誰でも簡単に「運がいい」人になれるのではないでしょうか?

平成の終わりであると同時に、新しい年号の始まりとなる2019年。ルピシアがお届けする、心ウキウキするような上質なお茶やお茶請けで、幸せな一年をお過ごしください。

<参考文献>
『運のいい人の法則』角川文庫(2011)/リチャード・ワイズマン博士 著、矢羽野薫 訳