ルピシアだより 2019年2月号
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「まめ」で元気に! 「まめ」で元気に!

2月3日は節分。今月は、私たちの伝統行事や日々の食生活に欠かせない「豆」のパワーに注目します。

節分に豆をまく理由

節分とは本来、季節の節目である立春、立夏、立秋、立冬の前日を指すもので、年に4回訪れます。しかし、旧暦では立春(2月4日頃)が一年の始まりにあたり、最も重要視されていたため、節分といえば2月3日頃を指すようになりました。

ところで皆さんは、なぜ節分に豆をまき、鬼を追い払うのかご存じでしょうか。それは、季節の分かれ目には邪気が入りやすいと考えられていたからです。鬼は邪気の象徴で、「鬼の目=魔目(まめ)」に豆をぶつけることは、「魔を滅する=魔滅(まめ)」に通じます。そこで、五穀の中でも穀霊が宿るとされる大豆をまいて、一年の無病息災を願うようになりました。

豆は世界の縁起物

日本では、節分をはじめ、季節の伝統行事に必ずと言っていいほど豆が登場します。おせち料理には黒豆やお多福豆。ひなまつりや端午の節句には、小豆あんを包んだ桜もちや柏もち。春と秋のお彼岸には、ぼたもちとおはぎ。結婚式や七五三などお祝いの席には、小豆やささげの入ったお赤飯が欠かせません。理由は諸説ありますが、昔から黒豆の黒色や小豆やささげの赤色には、邪気を払う力があると言われます。そうした縁起担ぎのために、日本人は節目節目で豆を取り入れてきたのでしょう。

縁起を担いで豆を食べる風習は、実は日本だけに限りません。アメリカ南部の正月料理には、ブラック・アイド・ピー(黒目豆)という豆を使った料理が出てきます。イタリアやハンガリー、ブラジルなどでは、大晦日やお正月にレンズ豆を食べます。どちらの豆も丸い形がコインに似ていることから、食べるとお金に困らないという言い伝えがあるのだそうです。

豆は優れた健康食材

今年のお正月、一年の健康を祈って黒豆を食べた方も多いでしょう。「まめ」という言葉には、健康や丈夫といった意味もあります。

その言葉通り、豆は様々な栄養素が詰まった健康食材。例えば「畑の肉」とも呼ばれる大豆は、必須アミノ酸をバランスよく含む良質なタンパク質が豊富です。食物繊維やビタミン、ミネラルの他、抗酸化物質の「イソフラボン」や「サポニン」も含みます。

また、大豆の一種である黒豆も、栄養成分は黄色い大豆とほぼ同じですが、黒い表皮の部分に優れた栄養素が詰まっています。中でもポリフェノールの一種「アントシアニン」は黄色い大豆にはない黒い色素成分で、強力な抗酸化作用を発揮します。

漢方・薬膳でも活躍

今でこそ科学的に証明されている豆の健康効果ですが、昔の人々も経験的に知っていたのでしょう。漢方や薬膳では古くから、黒豆の煮汁は血の巡りをよくしたり、解毒作用があるとして様々な症状に利用されてきました。また、利尿作用のある小豆の煮汁もむくみ対策などに使われてきました。

黒豆の代表産地である丹波篠山(兵庫、京都)や美作(みまさか)地方(岡山)では、咳が出たり、喉に痛みを感じた時などに黒豆の煮汁を飲むことが民間療法として受け継がれてきたそうです。

こうして見てみると、縁起がよくて体にもよい豆は、小粒でありながら、なんとも頼もしい存在です。次のページからは、そんな縁起のよい豆を使ったお茶をご紹介。豆のパワーをたっぷり詰め込んだおいしいお茶で、元気な一年を過ごしましょう。

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