ルピシアだより 2020年5月号
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日本茶でおいしく健やかに 日本茶でおいしく健やかに

「お茶」は私たちの毎日の健康をサポートする特別な力を持っています。なかでも特に注目されている日本茶のカテキンの魅力について新茶シーズンの到来にあわせてお伝えいたします!!

毎日の日本茶でカテキン生活

世界中で、かつてないほど健康について関心が高まる今日この頃。毎日の健康維持のため、こまめな手洗いやうがい、十分な睡眠と休息、食事の栄養バランス管理などに加えて、日本茶を飲む習慣をおすすめします。

お茶にはビタミンCやミネラル、カフェインやポリフェノールなどの健康成分が含まれています。なかでも日本茶(緑茶)に含まれているポリフェノールの一種、カテキン類は、健康維持をサポートする成分として知られています。

このカテキン類は、日本茶をいれるお湯・水の温度によって、成分の溶出量や体に与える働きも変化します。

熱い日本茶で活動的に

活動的になりたい日中は、日本茶の苦みや渋み成分として知られるエピガロカテキンガレートがしっかりと浸出される、80℃〜熱湯でいれたお茶をおすすめします。

カテキン類を代表する健康成分エピガロカテキンガレートは、抗酸化作用や抗菌・消臭作用のほか、飲む人の年齢に応じたエイジングケアや脂肪の分解、体内時計のバランス調整などをサポートするといわれます。

また熱湯などの高温で浸出した日本茶は、覚醒作用のあるカフェインがたっぷり含まれ、元気になる味わいに。特に深蒸しタイプの煎茶は、香ばしい風味とほのかな苦みや渋みが、お食事のお供にもピッタリです。

冷たい日本茶でリラックス

リラックスタイムにおすすめなのが、日本茶の水出しアイスティー。お好みの茶葉を入れたポットに水を注ぎ、冷蔵庫に3〜5時間置くだけで、簡単に作れます。

冷水でいれたお茶に含まれるカテキン類の一種、エピガロカテキンは、体の中に侵入したウイルスやバイキンを食べるマクロファージなどの細胞をサポートする働きがあるといわれています。

また新茶や、玉露などの上級茶に多く含まれるアミノ酸の一種、テアニンは、ストレスをやわらげたり安らかな睡眠を補助するなど、リラクゼーションをサポートする成分です。

これら日本茶の癒やし成分の働きは、通常は熱によってお茶に多く浸出されるカフェインやエピガロカテキンガレートの働きに拮抗し本領を発揮しきれません。しかし、低温で茶葉を浸出することで、より効果的に機能すると考えられています。


もっと知りたい 「氷水出し緑茶」の魅力を探る

近年、日本茶の生産者や愛好家の間で話題になったのが「氷水出し緑茶」。

氷水を使って浸出した日本茶は、エピガロカテキンやテアニンなどの成分の有効性が、水出しアイスティー以上に発揮される可能性があるといいます。

静岡県・島田市金谷の農研機構 果樹茶業研究部門にて「氷水出し緑茶」の研究をしている物部真奈美(ものべまなみ)先生へのインタビューと、おすすめのいれ方などの記事を掲載しています。ぜひご覧ください。


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注目の健康成分 カフェインが元気を応援

長年、カフェインの研究をしてきた元東京福祉大学教授・医学博士の栗原久(くりばらひさし)先生によれば、カフェインには、人や生物に備わっている能力が、疲労やストレスなどで下がった時に「心身を平常時に戻す」働きをサポートする力があるといいます。

また、近年の調査や実験により「運動能力の向上をサポート」、「食欲の増進」、「美肌や美容を応援」、「課題に対する意欲を高める」など、注目すべき利点が判明しています。

紅茶や緑茶、烏龍茶など1杯(100ml)のお茶には、カフェインが約20mg含まれています。カフェインの有益性を発揮させる目安は、成人で1日200mg。食事や休息時など、通常の飲み方をしている限り、お茶は利点のほうが多い飲み物です(※)。

お湯を沸かし、茶葉や茶器、添えるお菓子、飲む人の体調なども考えながら、一杯のお茶をいれる。その一連の流れも含めたお茶の文化は、カフェインを適度に、また健康的に楽しむ方法としてひとつの理想形だといえます。

※小学生以上の子どもについては、体重1kgあたり2.5mgが摂取の上限の目安です。

「お茶とカフェイン」に関する栗原久先生のインタビュー記事を掲載しています。

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