ジャガイモと北海道
ジャガイモは南米アンデス中南部、ペルー周辺が発祥と言われています。16世紀ごろ、スペイン人がヨーロッパ大陸へ持ち帰り、欧州各地へ広まります。アメリカ大陸へは18世紀、アイルランドからの移民が持ち込みました。
日本へはと言うと1598年、オランダ人が持ち込んだという記録があります。ジャワ島のジャガタラ(現在のジャカルタ)を経由して伝わったため、ジャガタライモという呼び名が転じてジャガイモとなったとか。ちなみに馬鈴薯(ばれいしょ)という呼び名は馬の首につける鈴に似ていることに由来すると言われています。
北海道で本格的にジャガイモ栽培が始まるのは明治以降のこと。アメリカ、イギリス、ドイツなどからジャガイモの優良品種を導入しました。北海道の気候や風土とも適合し、ジャガイモは北海道を象徴する農作物へと成長。今日、北海道は日本一のジャガイモの生産地となり、国内生産量の8割以上を占めるに至りました。
さて、ジャガイモの代名詞とも言える「男爵(だんしゃく)」。その名の由来は1908 年に函館の実業家・川田龍吉(かわたりょうきち)男爵がイギリスから輸入した「アイリッシュ・コブラー」という品種が広まり、のちに「男爵イモ」と呼ばれるようになったとか。川田男爵は最新式の機械農機具を積極的に輸入するなど北海道の農業の発展に貢献しました。
今日、ジャガイモは日本全土で栽培され、本州の温暖な地域や九州など南のエリアでは二毛作が可能ですが、北海道では春に植えた種芋を秋に収穫します。生産されている品種は約60種。一般の調理用、デンプン採取用、あるいはポテトチップスなどの加工用など、品種によりさまざまな用途で流通しています。
ところで、ジャガイモは太ると思い込んでいる方が少なくないのではありませんか? ジャガイモの成分は8割が水分。水煮をしたジャガイモのカロリーはご飯の約半分以下。さらにビタミンB1やビタミンC、カリウムを含むなど、ジャガイモは実に健康的な食材なのです。