ルピシアだより 2020年1月号
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世界共通 お茶で「おもてなし」 ルーツはお茶にあり 世界共通 お茶で「おもてなし」 ルーツはお茶にあり

2020年夏季に開催される東京オリンピック・パラリンピックの招致活動で一躍注目を集めた「おもてなし」。実はお茶と深い関係にあることをご存じでしょうか?

世界のお茶産地に見る お茶のおもてなし 世界のお茶産地に見る お茶のおもてなし

一煎ごとに笑顔広がる台湾

美しい茶壺(ちゃふう)や茶杯が並ぶテーブルを囲み、リラックスして談笑する人たち。

台湾の人たちにとって、お茶をいれて飲む時間を共有することは「人と人をつなぐ」かけがえのないものです。お茶は、家族や友人、仕事相手など様々な相手とのコミュニケーションにかかせません。なかでも、上質な味わいが特徴的な標高1000m以上の高地で作られる高山茶は、特別なおもてなしの場面で多く用いられるといいます。

おいしさが凝縮し、何煎も楽しめる台湾茶。伝統茶器で、一煎目、二煎目、三煎目と煎によって変わる個性を感じてもらいます。煎を重ねるごとに、おいしさだけではなく、会話や笑顔も広がります。

自慢の味を贅沢にインド・ダージリン

ヒマラヤ山麓に広がる世界最高の高級紅茶産地では、茶園マネージャーが直々にお茶をふるまうこともあります。春摘み、夏摘み、秋摘みと季節ごとに全く違った特徴を持つ紅茶が作られるダージリンで、茶園自慢の旬の味わいを堪能できる贅沢なひと時です。

茶園に滞在した翌日、目覚めとともに寝室まで運ばれてくるのが「ベッドティー」。朝食の前に、紅茶と一緒に瓶に入ったクッキーなどの軽食が用意されます。

自分たちが誇りをもって作る厳選したお茶を出すことで、高級感のあるおもてなしを演出します。

どこまでもスウィートにインドネシア

コーヒーの産地として有名なインドネシアは、実は世界有数の紅茶大国。

特徴的な紅茶の飲み方は、なんといってもその甘さ。プレーンな紅茶に、たくさんの角砂糖などでたっぷり甘みを加えます。インドネシアの紅茶産業は、19世紀にオランダ人によって開拓されました。そのため、おもてなしの特徴も西洋的でオランダ領時代の名残が感じられます。お茶請けにも、砂糖菓子や甘いフルーツが出てくることが多く、スウィートな時間を堪能できます。

気取らずシンプルな味わいベトナム

中国の南側に位置するベトナムは、古くからお茶を飲む習慣が深く根付いています。そんなベトナムで一番飲まれているのが「緑茶」。街中でグラスに注がれた緑茶が売られているのも、日常的な風景です。お客様が来たときも、一番身近な緑茶をおもてなしの一杯としてふるまいます。リラックスした自然体なおもてなしが特徴的で、なじみのあるシンプルな味わいを提供します。軽やかな味わいに合うお茶請けとして、フルーツが出てくることも。自分たちの生活に身近な味を共有し、相手を歓迎します。

お茶の数だけ おもてなしがある お茶の数だけ おもてなしがある