「バーテンダーの作法や仕草には、茶道との共通点を感じます」
宇都宮 【BAR 山野井】 山野井有三さん
栃木県宇都宮市は餃子のメッカとして有名ですが、ジャズとカクテルの街としても知られています。ジャズ界の代表が宇都宮市出身の渡部貞夫さんだとしたら、カクテル界を代表する伝説的なバーテンダーが今回ご紹介する山野井有三さん。グラン・マルシェなどイベント時のティーカクテル開発などにご協力いただいた、ルピシアともゆかりのある人物です。
山野井さんは1987年の全国バーテンダーズ技能競技大会の優勝を皮切りに様々な賞を獲得した後、地元である宇都宮市でのカクテル関連イベントの中心メンバーとして長年ご活躍をされてきました。現在もご自身のお店のカウンターに立つかたわら、PBOプロフェッショナル・バーテンダーズ機構の理事として後進の育成に務めています。プロに尊敬される本物のプロフェッショナルです。
「抹茶や紅茶を使ったリキュールや、それを応用したカクテルも数多くありますし、紅茶やコーヒーにウイスキーやブランデーをいれるレシピなど、お茶とお酒の組み合わせは古くからあるスタイルのひとつです」と語る山野井さん。おすすめは「烏龍茶とカシス、ピーチなどのフルーツ系リキュール、紅茶にはアップル、アンズなどのリキュールを組み合わせると美味しいですよ」とのこと。またグリーンティー・リキュールやカルーアなどのコーヒーリキュールには、濃い目に抽出したお茶と生クリームやミルクがよく合うといいます。
「日本のオーセンティックバーやカクテルコンペティションを見ていると、バーテンダーぞれぞれの目線、指先の神経の入れ方、姿勢などのたたずまいの美しさへのこだわり、もてなしの気持ちに茶道との共通点を感じます」。山野井さんがカクテルを作る時の熟練した仕草、カウンターに漂うほのかな緊張感は、まるで能の舞台を見ているかのよう。その味わいは華麗で、いつまでも忘れられない美味しさがあります。宇都宮を訪問されるときには、ぜひ一足伸ばして、伝説の風味をお楽しみください。